化石燃料開発企業

気候関連の財務リスクを十分に開示していない企業の姿勢は、監査役の職責の遂行に対する懸念を抱かせる

 

公開日: 2025年4月14日 | 更新: 2025年4月15日

総合商社や中部電力・JERAによる気候リスクの認識や監督の仕組みの開示が限定的であるため、投資家は、気候リスクの影響を評価することができません。

これらの株主提案は、移行リスクや物理的リスクに伴う財務的リスクに関する情報開示の拡充に加え、監査等委員会(または監査役)が、取締役による気候関連の財務リスクと機会の管理改善を通した、企業価値を向上させるための会社の戦略、方針、プロセスをどのように評価しているかの開示を求めるものです。

  1. 日本の総合商社(三菱商事、住友商事、三井物産)や電力会社(中部電力/JERA*)は、重要なリスクについての十分な開示を行なっていません。これには、物理的リスクの高い地域で操業する資産の割合や、新規の化石燃料投資および既存の化石燃料資産をパリ協定に適合させるために必要な合理的に見積もられたコスト(移行リスク)など、主要なリスクが含まれます。
  2. 各企業は、2050年までにネットゼロを達成することや、1.5℃に沿った移行計画を発表しているが、分析では、現在の事業計画が壊滅的なレベルの気温上昇に相当する水準であることを発見しました**
  3. 各社の現在の気候リスクに関する開示は不十分であり、企業戦略や将来の投資コストによる財務的影響を投資家が正確に評価することを妨げています。
  4. 監査等委員会(または監査役)は、 取締役の職務を監督する役割を担って いるが、気候関連リスクの管理がどのように監視・評価されている かについて、明確な根拠を示すことができていません。現在の情報開示は、リスクの監視、評価基準、取締役監督の実効性に関する透明性を欠いています。

*JERAは、東京電力フュエル&パワー株式会社(東京電力ホールディングス株式会社の100%子会社)と中部電力株式会社が50%ずつ出資する合弁会社である。
** モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)サステナビリティ研究所の分析に基づく。

詳細資料はこちら

投資家向け説明資料 4月15日

中部電力 株主提案 4月

三菱商事 株主提案 4月

三井物産 株主提案 4月

住友商事 株主提案 4月

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投資の助言でないこと
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