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国内外の環境NGOが国内4企業に株主提案

マーケット・フォース
国際環境NGO 350.org Japan
国際環境NGO FoE Japan
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

4月11日、国内外の環境NGOとその代表者を含む個人株主*が、金融、商社、電力の3業界の4企業(三井住友フィナンシャルグループ、三菱商事、JERAの株主である東京電力ホールディングスと中部電力)に対し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出いたしました。

4企業に対する今回の株主提案は、パリ協定目標と整合する中期および短期の温室効果ガス削減目標を含む事業計画の策定、あるいは、2050年炭素排出実質ゼロ(ネットゼロ)への移行に向けた資産の耐性の評価および開示などを企業に求めるものです。

近年、公的部門や民間部門によるネットゼロへのコミットメントが増加しています。海外の機関投資家は石炭火力発電事業、さらには化石燃料関連事業への支援中止や投融資からの撤退を進めており、昨年のCOP26でも脱炭素や森林破壊停止に向けた流れが明確に示されました。世界経済は、気候危機の脅威と状況に適応する必要に迫られており、日本はこの転換の最前線にいます。変化が急速に進む中、気候変動に対する戦略の策定、および実質的な対策を怠っている企業は、座礁資産の増加や訴訟、ブランド価値の毀損など将来に対する重大なリスクを抱えていると言えます。投資家は、こうした脅威を懸念し、企業が行動を起こすことを求めているのです。

気候変動への対策を求める株主行動が世界的に増加しています。我々の提案も、パリ協定の目標や2050年までのネットゼロ目標に反して、新たな化石燃料事業への開発を支援したり、融資を継続したりしている企業に行動を促すことを目的としています。

今回、株主提案の対象とした企業(東京電力と中部電力、三菱商事、三井住友フィナンシャルグループ)はそれぞれ環境関連方針を表明している一方で、国内外で化石燃料事業への関与を継続しています。JERA、東電設計(TEPSCO:東京電力ホールディングスのグループ会社)、三菱商事、三井住友フィナンシャルグループの4社が関与している10件のガス事業(計1,780万kW)の運転期間中のライフサイクル排出量は、12億トン(CO2換算)と試算されています。この数字は、日本の2030年までの温室効果ガス排出削減目標のほぼ2倍に相当する量であり、パリ協定と整合しないことは明らかです。

国連や国際的な研究機関は、パリ協定の1.5℃目標を達成するためには、2020年から2030年の間に、世界の石油生産量は年4%、ガスは年3%減少させなければならないと明らかにしています。また、国際エネルギー機関(IEA)の「Net Zero by 2050(2050年ネットゼロ報告書)」は、新たな化石燃料事業への投資はネットゼロシナリオに整合しないと明言し、低炭素ソリューションに投資していくことを重視しています。

こうした科学的な分析に基づき、機関投資家が企業の気候危機対策を重視する傾向が高まっています。投資家グループ「Climate Action 100+」は、2021年に提出された49件という記録的な数の気候変動に関連する株主提案が「歴史的成功」を収めたと評価しています。この中には、エクソンモービルの取締役会で3人の気候変動への関心が高い取締役が新たに選出された特筆すべき決議も含まれています。

世界中でネットゼロへの関心は高まっており、機関投資家は、既に金融機関や企業のゼロ・エミッションに向けた行動に注目し、目標達成に向けた行動を促しています。図らずもウクライナ情勢がエネルギー供給における地政学リスクを顕在化させている中、輸入に大きく依存する化石燃料からの早期撤退が一層必要となっています。

企業が我々の提案を真摯に受け止め、気候変動対策をさらに強化し、脱炭素社会に向け、企業価値の向上を図ることを期待しています。

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